ある戦略

社長は新製品の市場開拓に、身をもって苦心の経験を積んだ人です。


内に苦労人としての人徳を備え、外には頭の回転の早いことで聞こえていました。


今、小型乗用車の開発をスタートするに当たり・・・


まっ先に考えたのは、中古車検索の多い新小型乗用車は大量販売を実現しなければならないのは当然として、どうすればそれを達成できるかの戦略でした。


小型乗用車の市場に打って出るとなれば、強敵トヨタ、日産のモデルとの競合は避けられません。


それより何より、知名度の若いマツダモデルに、顧客の眼を吸引する何かがなければ勝ち目はありません。


この段階で恒次社長の脳裡をふとよぎったものがあります。


それはこの年(35年)の元旦に、あまたの年賀状にまじって届いた西ドイツからの1通の航空便でした。


差出人は西ドイツで機械関係の商社を経営するフォルスターと言い、東洋工業の先代社長松田重次郎と親交のあった人です。

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